遺言書作成サポート

遺言書とは、被相続人が「自分の財産を、誰に、どれだけ残すのか」という意思を生前に表示した書面のことをいいます。

遺言書は大きな効力を持っており、遺言書さえあれば、基本的に遺産は遺言書の内容に従って分けることになります。
そのため、遺産相続がスムーズに進み、遺産の分け方をめぐる相続人同士での争いも生じにくくなります。

また遺言書を残すことで、法律で定められた法定相続人以外の人に財産をあげたり(遺贈)、寄付したりすることも可能です。

遺言書の形式

普通方式遺言

①自筆証書遺言
遺言者本人が、本文、日付、氏名を自書した上で捺印した遺言書

②公正証書遺言
公証役場において公証人と証人の立ち会いの下作成される遺言書

③秘密証書遺言
遺言書の存在だけを公証人と証人に証明してもらう遺言書

特別方式遺言

④一般危急次遺言
病気などの理由で死亡の危険が窮迫である場合に行う遺言書

⑤一般隔絶地遺言
伝染病や災害で交通を断たれた場所にいる人や服役囚が行う遺言書

⑥船舶隔絶地遺言
船舶に乗っていて陸地から離れた人が行う遺言書

⑦難船危急時遺言
船舶や飛行機に乗っていて死亡の危険が窮迫である場合に行う遺言書

一般的に『遺言書』というと『普通方式遺言』のことを指します。
ただ、③秘密証書遺言に関しては実際に使われることは非常に稀なので、①自筆証書遺言、②公正証書遺言に関して詳しく解説していきます。

自筆証書遺言と公正証書遺言の比較

自筆証書遺言公正証書遺言
作成方法遺言者本人が記述公証人が記述
証人の要否不要2人必要
家庭裁判所の検認必要(法務局保管の場合不要)不要
保管方法遺言者本人で保管もしくは法務局で保管原本は公証役場で保管
費用0円(法務局保管の場合3,900円)16,000円~(財産額に応じて加算)
特徴費用をかけずに手軽に作成出来るが、内容の不備等があると手続きで使用する際に無効と判断される可能性がある。紛失や改ざんなどの恐れがなく、手続きで使用する際に無効と判断される可能性も限りなく低いが、手間と費用がかかる。

自筆証書遺言

『自筆証書遺言』とは、遺言者本人が遺言書の本文、日付、氏名を自書し、捺印することで作成する遺言書です。
筆記用具や使用する用紙に関しての条件は特にないので、ボールペンやノート、印鑑が手元にあれば、思い立った時にすぐにでも作成することが可能です。

なお、財産目録を添付する場合、その目録については自書する必要はなく、パソコンなどで作成したもので構いません。

メリットとデメリット

メリット

  • 手軽に作成出来る
  • 費用がかからない
  • 法務局で保管の場合には検認が不要

デメリット

  • 無効になりやすい
  • 紛失・隠蔽・変造・破棄などのリスクがある
  • 発見されにくい
  • 相続人間での争いが起きやすい
  • 法務局以外で保管の場合には検認が必要

遺言書保管制度

『遺言書保管制度』とは、作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度です。

以前は、自筆証書遺言の大半は自宅で保管されていました。
しかし、自宅での保管は、遺言書の紛失、相続人などによる遺言書の隠匿や変造、破棄などのおそれがあり多くの問題点がありました。

そこで、令和2年7月から遺言書保管制度が始まり上記の問題点の多くが解消され、より自筆証書遺言の利用価値が高まりました。
なお、同制度を利用するには手数料3900円がかかります。

家庭裁判所の検認

遺言書の保管を任された者や、遺言書を発見した相続人は、その遺言書を家庭裁判所に提出して『検認』を請求しなければなりません。
検認とは、相続人に対し遺言の存在を知らせるとともに、遺言書の形状や内容などを明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続きのことをいいます(※遺言書の有効無効を判断する手続きではありません)。

上記の遺言書保管制度を利用した場合には、この検認の手続きが不要となるため、相続人の負担が軽減されます。

書き方のポイント

  • 遺言者本人が自書する(代筆やパソコンでの作成は無効)
  • 日付は年月日を明確に記載する(「○月吉日」のような表現は無効)
  • 署名する
  • 捺印する
  • あいまいな表現は使わない
  • 財産目録はパソコンを使ってもよい

上記のポイントを押さえれば基本的な法律上の要件は満たすことが出来ますが、その他の部分で不備があったり、複数の解釈をされてしまうような表現があったりすると、実際の相続手続きで使用する際に無効と判断されてしまう可能性があるので、作成後に専門家に確認を依頼することをおすすめします。

公正証書遺言

『公正証書遺言』とは、公証人に作成してもらう遺言書です。
公証人が関与して作成する遺言書なので、手続きで使用する際に無効と判断される可能性が非常に低く、確実性が高い方式です。

メリットとデメリット

メリット

  • 公証人が関与するため無効になりにくい
  • 公証役場で原本を保管してくれるので、紛失・隠蔽・変造・破棄などのリスクがない
  • 発見されやすい(遺言検索サービスを利用出来る)
  • 相続人間での争いが起きにくい
  • 検認が不要
  • 文字を書けなくても作成出来る

デメリット

  • 費用がかかる
  • 手間がかかる
  • 証人2人が必要となる

作成にかかる費用

公正証書遺言を作成する際に公証役場に支払う手数料は、遺言の目的たる財産の価額に対応する形で以下のように定められています。
また、全体の遺産が1億円以下の場合は、下記の手数料に1万1000円が加算されます(遺言加算)。

目的の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1,000万円以下17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下29,000円
5,000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

証人

公正証書を作成する際には、作成に立ち会う証人2人が必要となります。
証人になるために必要な資格は特にありませんが、以下に該当する者は証人になることが出来ません。

  • 未成年者
  • 推定相続人
  • 受遺者
  • 推定相続人の配偶者や直系血族
  • 受遺者の配偶者や直系血族

遺言者本人が証人を見つけられない場合には、公証役場で紹介してもらうことも可能です。
その場合には証人1人につき10,000円前後の費用がかかります。
なお、遺言書作成を弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に依頼した場合は、その専門家がそのまま証人を引き受けるのが一般的です。

遺言書作成サポートは【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所にお任せ下さい

遺言書を作成することで、相続争いを未然に防ぎ、さらに相続手続きの負担も大幅に軽減することが出来ます。
しかし、法律上の要件を満たし、相続手続きで有効に使用することが出来る遺言書を作成することは、実は簡単なことではなく、遺留分(法定相続人が最低限保障されている財産の取り分)や、予備的遺言(遺言で指定した相続人が先に亡くなってしまうことに備え、代わりの相続人まで指定しておく遺言)といった知識なども必要となってきます。

遺言書作成をご希望あるいはご検討中でしたら、ぜひお気軽に【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所にお問い合わせください。