被相続人に借金があった場合の負担割合は?法定相続分の割合で負担するのが原則

被相続人(亡くなった方)に借金や未払い金などの負債があった場合、「誰が」「どのくらいの割合で」負担するのかは、多くの方が不安に感じるポイントです。

結論からいうと、被相続人の負債は、原則として法定相続分の割合に応じて相続人全員が負担することになります。
ただし、相続放棄や限定承認といった選択肢もあり、状況によって取るべき対応は大きく異なります。

被相続人の「負債」も相続の対象になる

相続というと、預貯金や不動産などの「プラスの財産」をイメージしがちですが、実際には「マイナスの財産(負債)」も相続の対象になります。

具体的には、次のようなものが負債にあたります。

相続の対象になる主な負債の例

・金融機関からの借入金
・カードローン
・消費者金融からの借金
・住宅ローン
・事業用の借入金
・クレジットカードの未払い金
・未納の税金や社会保険料
・家賃・医療費・介護費用などの未払い分

これらは、原則として相続人が引き継ぐことになります。


住宅ローンがある場合の扱い

被相続人に住宅ローンが残っている場合、その扱いは団体信用生命保険(団信)の有無によって変わります。

団信に加入していた場合

住宅ローンの契約時に団体信用生命保険に加入している場合、被相続人が亡くなると、保険金によって住宅ローン残高が完済されるのが一般的です。

この場合、相続人は住宅ローンを引き継ぐ必要はありません。


団信に加入していなかった場合

団信に加入していなかった場合や、団信の対象外となるケースでは、住宅ローン残高はそのまま負債として相続の対象になります。

この場合、

・相続人が返済を引き継ぐ
・相続放棄を検討する
・売却して清算する

などの対応が必要になります。


被相続人に負債があるかどうかを確認する方法

① 取引先が分かっている場合:個別に直接確認する

通帳、郵便物、スマホの履歴などから、取引していた金融機関等が分かる場合には、それぞれに個別に確認します。

主な確認先の例

金融機関
・銀行
・信用金庫
・信用組合
・ネット銀行

信販会社・消費者金融・クレジットカード会社
・カードローン
・キャッシング
・クレジットカードの未払い

② 取引先が分からない場合:信用情報機関に一括照会する

  • どこから借りていたのか分からない
  • 家族も把握していない
  • 郵便物なども見当たらない

という場合には、信用情報機関へ開示請求を行ないます。

信用情報機関とは、ローンやクレジットの利用履歴を一元的に管理している機関で、主に次の3つがあります。

全国銀行個人信用情報センター(銀行系)
JICC(消費者金融系)
CIC(クレジット・信販会社系)

これらに開示請求を行うことで、被相続人の負債状況を把握することが可能になります。

負債がある場合に検討すべき3つの選択肢

被相続人に負債があることが分かった場合、相続人には次の3つの選択肢があります。


① 単純承認

単純承認は、プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継ぐ、という方法です。

後述する相続放棄や限定承認の申述をしないまま、相続の開始を知った日から3か月が経過すると、原則として単純承認したものとみなされます。


② 相続放棄

相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない、という方法です。

相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったものとして扱われます。
借金が明らかに多い場合などに有効です。


③ 限定承認

限定承認は、「相続したプラスの財産の範囲内でのみ負債を負担する」、という方法です。

たとえば、相続財産が1,000万円、借金が2,000万円ある場合でも、相続人が自分の財産から不足分を支払う必要はなく、相続財産の範囲内(この場合は1,000万円)でのみ責任を負うという仕組みです。
ただし、手続きが煩雑で、相続人全員で行う必要があるなどの制約もあります。


負債を相続した場合の負担割合はどうなる?

相続放棄や限定承認をせず、負債を相続する場合の負担割合を説明します。

原則:法定相続分の割合で負担する

被相続人の負債は、原則として、法定相続分の割合に従って相続人全員が負担します。

たとえば、

・配偶者:1/2
・子ども2人:それぞれ1/4

という場合、借金もこの割合で負担するのが原則です。


遺産分割協議で負担割合を変えることはできる?

相続人同士の話し合い(遺産分割協議)によって、「長男が全部返す」「特定の人が多めに負担する」といった取り決めをすることも、相続人間では可能です。


ただし、債権者の承諾が必要

ここで重要なのが、相続人同士の取り決めは、債権者には原則として対抗できないという点です。

たとえ相続人間で「特定の相続人が借金を全額負担する」と合意していたとしても、その合意だけで債権者に対する支払義務が変更されるわけではありません。

そのため、債権者の承諾が得られていない場合には、債権者は各相続人に対して、法定相続分に応じた請求を行うことができることになります。

荒川区の相続・生前対策なら【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所へ

被相続人に借金があった場合、相続放棄をするべきか、限定承認を選ぶべきか、そのまま単純承認するべきか、といった判断が難しくなります。

弊所では、まず状況をお伺いしたうえで、どのような選択肢があるのか、どの方法が適しているのかをご案内し、必要に応じて提携している専門家(司法書士・税理士など)と連携しながら対応しています。

荒川区にお住まいで、相続や負債の問題について不安や疑問をお持ちの方は、【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所まで、どうぞお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

香川 貴俊
香川 貴俊行政書士香川法務事務所 代表
行政書士(東京都行政書士会荒川支部理事、荒川区役所区民相談員)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビリヤードプロ