認知症になるとできなくなること5つ|銀行口座・不動産・相続への影響
高齢化が進む中で、将来の認知症について不安を感じている方も少なくないでしょう。
認知症というと「物忘れが多くなる」「同じことを何度も聞く」といった症状を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、認知症の影響は日常生活だけにとどまらず、契約や財産管理などの法律行為を自分で行うことが難しくなる場合があります。
特に相続や生前対策の分野では、「判断能力の有無」が非常に重要であるため、判断能力が十分でないと判断されると、銀行手続き、不動産の売却、遺言書の作成などができなくなる可能性があります。
銀行手続き
認知症になると、銀行手続きを自分で行うことができなくなります。
金融機関では、預金者の判断能力に問題があると判断した場合、口座の取引を制限することがあります。
これは、不正な引き出しやトラブルを防ぐための措置です。
例えば、家族が本人に代わって預金を引き出そうとしても、金融機関が「本人の判断能力が低下している」と判断した場合、口座が凍結されてしまうため、預金の引き出しや定期預金の解約などができなくなります。
当然このような状態になると、生活費や医療費などの支払いに支障が生じることになります。
不動産の売却や名義変更
認知症になると、不動産の売却や名義変更などの手続きを自分で行うことができなくなります。
不動産の売買契約や贈与契約などは法律行為であり、契約内容を理解し、意思表示をするための判断能力が必要になります。
そのため、認知症によって判断能力が低下していると判断された場合、これらの契約を行うことはできません。
具体的には、次のようなケースが考えられます。
・自宅を売却して介護施設の入所費用に充てたい
・空き家になった実家を売却したい
・土地を子どもに贈与したい
このような場合でも、本人に判断能力がないと判断されると契約ができないため、手続きを進めることはできなくなります。
その場合には、成年後見制度を利用し後見人を選任することで、手続きを進められるようにはなりますが、成年後見制度を利用すると、余分なコストが発生したり、財産の処分について家庭裁判所の関与が必要になったりと、いくつかのデメリットも生じるため慎重な判断が求められます。
遺言書の作成
遺言書を作成するためには、「遺言能力」と呼ばれる判断能力が必要です。
遺言書は、自分の財産を誰にどのように残すのかを決める重要な法律行為であるため、遺言の内容を理解し、意思表示をする能力が求められます。
認知症の症状が進行すると、遺言能力がないと判断されるケースがあり、有効な遺言書を作成することができなくなります。
また、判断能力が不十分な状態で作成された遺言書は、相続人の間で無効を主張されるなど、相続トラブルの原因になることもあります。

生前贈与
認知症になると、生前贈与を行うこともできなくなります。
贈与契約は、財産をあげる人と受け取る人の合意によって成立する契約であるため、贈与の内容を理解し、意思表示をするための判断能力が必要になります。
生前贈与の具体例として、
・住宅購入資金の贈与
・子や孫への生前贈与
・相続対策としての財産移転
などが考えられますが、認知症によって判断能力がないと判断された場合には、これらの贈与契約が成立しない可能性があります。
各種契約(施設入所・介護サービスなど)
認知症になると、施設入所契約や介護サービス契約などを自分で行うことができなくなります。
具体的には、次のような契約が挙げられます。
・介護施設入所契約
・介護サービス利用契約
・賃貸借契約
・携帯電話の契約
これらの契約も法律行為であり、契約内容を理解し判断する能力が必要になるため、もし判断能力がないと判断された場合には、契約を結ぶことができなくなります。
認知症に備えた生前対策
このように、認知症になると、財産管理や契約行為などさまざまな手続きを自分で行うことができなくなります。
そのため、将来に備えて生前の段階から準備を進めておくことが重要です。
例えば、次のような対策が考えられます。
・遺言書の作成
・任意後見契約
・家族信託
これらの対策を判断能力が十分にあるうちに行っておくことで、将来のトラブルを防ぐことができます。
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認知症になると、銀行手続きや不動産の売却、遺言書の作成や生前贈与など、さまざまな手続きを自分で行うことができなくなります。
そのため、将来の相続や財産管理については、生前の段階から準備を進めておくことが重要です。
行政書士香川法務事務所では、遺言書の作成や任意後見契約など、生前対策についてご相談を承っており、状況に応じて司法書士や税理士などの専門家とも連携しながら対応しています。
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この記事の執筆者

- 行政書士香川法務事務所 代表
- 行政書士(東京都行政書士会荒川支部理事、荒川区役所区民相談員)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビリヤードプロ
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