株式を相続する際の手順は?|手続きの流れと評価方法・分割方法を解説

相続財産に株式が含まれている場合、預貯金や不動産とは異なる対応が必要となります。
特に、どの証券会社で管理されているか、また上場株か非上場株かによって手続きが大きく変わるため、全体像を把握しておくことが重要です。


相続手続き全体の流れ

株式の手続きは、相続全体の流れの中で進めていきます。

一般的には以下の順序となります。

  • 遺言書の有無の確認
  • 相続人調査(戸籍収集)
  • 相続財産調査
  • 相続放棄の検討(3か月以内)
  • 遺産分割協議(遺言がない場合)

その後、

  • 各種財産の名義変更
  • 準確定申告(必要な場合)
  • 相続税申告・納付(必要な場合)

という流れになります。


本記事の前提

本記事では、遺言書の有無の確認や相続人調査、遺産分割協議などの手続きがすでに完了していることを前提として、その後の株式の名義変更手続きについて解説します。


株式の分割方法

株式の分け方にはいくつかの方法があります。

現物分割

株式そのものを相続人ごとに分ける方法です。
シンプルな方法ですが、株数の関係で均等に分けられない場合もあります。

換価分割

株式を売却して現金化し、その金銭を分配する方法です。
公平性を保ちやすい一方で、売却のタイミングによって金額が変動する点に注意が必要です。

代償分割

特定の相続人が株式を取得し、他の相続人に対して金銭を支払って調整する方法です。
実務上はこの方法が選択されるケースが多く見られます。


株式の種類による違い

株式の相続手続きは、その種類によって進め方が異なります。

上場株式

証券会社で管理されている株式です。


非上場株式

証券取引所に上場していない株式で、発行会社が株主名簿を管理しています。
そのため、証券会社ではなく発行会社に対して手続きを行う必要があります。


証券会社が分からない場合

被相続人がどの証券会社を利用していたか分からない場合には、証券保管振替機構(いわゆる「ほふり」)に対して照会を行うことで、管理されている証券会社を確認できる場合があります。

照会を行う際には、所定の申請書類や本人確認書類、被相続人との関係を証明する戸籍などの提出が必要となります。
具体的な手続き方法については、証券保管振替機構の案内を確認しながら進めることになります。


上場株式の相続手続き

証券会社への連絡

まず、被相続人が口座を保有していた証券会社に連絡し、相続が発生した旨を伝えます
証券会社ごとに相続手続きの進め方や必要書類が異なるため、最初に案内を受けて全体の流れを把握しておくことが重要です。

この段階で、被相続人の口座は原則として凍結され、売買や出金などの取引が制限されます。
以後は証券会社の管理下で手続きが進むため、案内に従って対応していくことになります。

証券口座の準備

株式を取得する相続人は、自身名義の証券口座を開設する必要があります
これは、被相続人の口座から相続人の口座へ株式を移管するためです。

すでに証券口座を保有している場合でも、証券会社が異なると移管手続きに時間がかかることがあるため、可能であれば同一の証券会社で口座を開設する方がスムーズに進むケースもあります。

また、口座開設には本人確認書類の提出や審査が必要となるため、手続き全体のスケジュールを考慮して早めに準備しておくことが望ましいといえます。


必要書類の提出

証券会社から案内される必要書類を準備し、提出します。
一般的には以下の書類が求められます。

  • 戸籍関係書類(相続関係を証明するもの)
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 印鑑証明書
  • 証券会社所定の相続手続書類

これらの書類は、不備があると手続きが進まないため、記載内容や有効期限などを十分に確認したうえで提出することが重要です。

また、証券会社によっては原本の提出が必要となる場合や、追加書類を求められることもあるため、事前に内容をよく確認しておく必要があります。


株式の移管

必要書類の審査が完了すると、被相続人の証券口座に保有されていた株式が、相続人の証券口座へ移管されます

移管が完了するまでには一定の期間を要することがあり、その間は株式の売却などができない場合もあります。
そのため、売却を予定している場合には、手続きにかかる時間も考慮しておくことが重要です。

移管後は、相続人が自由に株式を管理・処分することができるようになりますが、売却や配当の取り扱いについては税務上の影響も生じるため、必要に応じて確認しておくことが望ましいといえます。


非上場株式の相続手続き

非上場株式の場合は、発行会社に対して手続きを行います

  • 発行会社へ連絡
  • 必要書類の提出
  • 株主名簿の書換

必要書類については発行会社ごとに異なるため、事前に確認する必要があります。


株式の相続税評価額について

株式は相続税の計算にあたり評価が必要となりますが、上場株式非上場株式では評価方法が異なります

また、この評価はあくまで相続税を計算するためのものであり、遺産分割の際の評価額とは必ずしも一致しない点にも注意が必要です。


上場株式の評価

上場株式は市場価格を基準として評価され、以下の4つのうち最も低い価格を用います。

  • 相続開始日の終値
  • 相続開始月の毎日の終値の平均額
  • 相続開始月の前月の毎日の終値の平均額
  • 相続開始月の前々月の毎日の終値の平均額

非上場株式の評価

非上場株式は市場価格がないため、会社の財務内容等をもとに評価されます。

主な評価方法としては、

  • 類似業種比準方式
  • 純資産価額方式
  • 配当還元方式

などがあり、会社の規模や株主の立場に応じて適用されます。

専門的な判断が必要となるため、税理士に相談しながら進めることが一般的です。


遺産分割における評価との違い

相続税評価額は税務上の基準に基づいて算出されるものですが、遺産分割においてどの評価額を用いるかについては法律上の明確な定めはありません。

そのため、

  • 相続開始時の時価
  • 遺産分割時の時価

など、相続人全員の合意により評価基準を決めることになります。

評価方法によっては分配結果に差が生じることもあるため、事前に確認しておくことが重要です。


荒川区の相続・生前対策なら【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所へ

株式の相続については、「証券会社が分からない」「どのように手続きを進めればよいのか」「どのように分割すべきか」といった点で悩まれる方も多くいらっしゃいます。

株式は種類や評価方法によって手続きが異なり、相続の中でも専門的な判断が求められる分野であり、財産全体のバランスを踏まえたうえで、適切に進めることが重要になります。

行政書士香川法務事務所では、遺産分割協議書の作成をはじめとした相続手続きのご相談を承っており、ご家族の状況やご意向を踏まえながら、必要に応じて司法書士や税理士などの専門家とも連携し、総合的なサポートをご提供しています。

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投稿者プロフィール

香川 貴俊
香川 貴俊行政書士香川法務事務所 代表
行政書士(東京都行政書士会荒川支部理事、荒川区役所区民相談員)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビリヤードプロ