遺言で財産を寄付することは可能?|方法や書き方・税金・注意点を解説

遺言書では、財産を家族に承継させるだけでなく、団体や法人へ寄付することで、その行き先を社会へと広げることもできます。

例えば、生前に関わりのあった分野や支援したい活動に対して財産を役立てるなど、遺言の内容次第でその活用方法は大きく変わります。

遺言で財産を寄付することはできるか

母校やお世話になった教育機関への恩返し、医療・福祉分野への支援、災害復興や社会課題への貢献など、さまざまな理由や動機から、自身の財産を寄付したいと考える方もいるのではないでしょうか?

このような場合、遺言によって、特定の団体や法人に財産を渡す(寄付する)ことが可能です。

この方法は法律上「遺贈」と呼ばれ、相続人以外の第三者に財産を承継させる手段とされており、この仕組みを活用した寄付は「遺贈寄付」と呼ばれます。

遺贈寄付を行う際には、寄付先を特定できるように、

・正式名称(略さずに記載)
・所在地

などを正確に記載しておく必要があります。

また、団体によっては遺贈の受け入れ体制や専用窓口を設けている場合もあるため、あらかじめ確認しておくことで、その後の手続きを円滑に進めやすくなります。

遺贈寄付を行うための遺言書を作成する流れ

・寄付先の選定(受け入れ可否や条件の確認)
・遺贈する財産の内容を検討(現金・不動産・有価証券など)
・相続人の遺留分への影響を確認
・遺言内容の整理(特定遺贈として具体的に記載)
・遺言執行者の指定
・公証役場で公正証書遺言を作成(トラブル防止の観点から望ましい)


寄付は「特定遺贈」で行う

遺言による寄付は、特定遺贈の形で行う必要があります。

遺贈には、

・包括遺贈(割合で包括的に財産を渡す方法)
・特定遺贈(特定の財産を指定して渡す方法)

の2種類があります。

寄付の場合、包括遺贈としてしまうと、受け取る側にとって権利関係や手続きが複雑になる可能性があります。

そのため、

・金銭であれば「〇〇円」
・預貯金であれば「〇〇銀行〇〇支店の預金」
・不動産であれば「所在・地番を特定」

といった形で、具体的に財産を特定して記載することが適切です。


寄付先の具体例

遺言による寄付先には、さまざまな選択肢があります。

・公益財団法人・公益社団法人
・社会福祉法人(高齢者施設・児童福祉施設など)
・学校法人(大学・奨学金制度など)
・NPO法人
・地方公共団体(自治体)

寄付先の選定にあたっては、活動内容や受け入れ体制を確認しておくことが重要です。
(こちらのサイトが参考になります→全国レガシーギフト協会


遺言の書き方(文例)

遺言で寄付を行う場合には、「誰に」「何を」「どのように」渡すのかを明確に記載する必要があります。

現金を寄付する場合

第○条  
遺言者は、遺言者の有する預貯金のうち金○○円を、〇〇法人〇〇(所在地:〇〇)に遺贈する。

遺産の一部を割合で寄付する場合

第○条  
遺言者は、遺言者の遺産のうち○分の1を、〇〇法人〇〇に遺贈する。

不動産を売却して寄付する場合

第○条  
遺言者は、遺言者所有の下記不動産を売却し、その売却代金から必要費用を控除した残額を、〇〇法人〇〇に遺贈する。

使途を指定する場合

第○条  
遺言者は、金○○円を〇〇法人〇〇に遺贈する。なお、本遺贈財産は〇〇事業のために使用されることを希望する。

遺言執行者の指定

遺贈寄付を実行する場合には、財産の引渡しや換価、不動産の名義変更などの手続きが必要となるため、遺言執行者を指定しておくことが望ましいでしょう。

付言事項の活用

遺贈寄付を行う場合には、付言事項を活用することも有効です。

なぜ寄付を行うのか、その背景や想いを記載しておくことで、相続人や受遺者に対して意図が伝わりやすくなります。

文例

付言事項  
私は、生前に多くの支援を受けた〇〇分野に対して恩返しをしたいという思いから、本遺贈を行うこととしました。
本遺言の趣旨をご理解いただき、円滑に手続きを進めていただければ幸いです。

税金の取り扱い

相続税

・法人が財産を受け取る場合、原則として相続税は課税されない
・ただし、相続税の負担を不当に減少させると認められる場合には例外あり

みなし譲渡所得税

・不動産や株式などを法人へ遺贈した場合に課税される可能性がある
・時価と取得価額との差額(含み益)が課税対象となる
・納税義務は寄付先ではなく相続人が負うことになるため注意が必要

課税が生じる遺贈寄付に関しては、税理士と相談の上、遺言書を作成することが望ましいでしょう。

注意点

遺言による寄付を行う際には、以下の点に留意する必要があります。

・寄付先の名称や所在地を正確に記載する
・相続人の遺留分に配慮する
・寄付先が遺贈を受け入れる体制があるか確認する
・使途指定をする場合は、その実現可能性も考慮する
・不動産はそのまま寄付するのではなく、売却して現金化する方法も検討する


荒川区の相続・生前対策なら【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所へ

遺言による寄付は、寄付先の選定や遺言の記載内容、相続人との関係や税金面によって手続きの進めやすさが大きく変わるため、全体を踏まえて設計しておく必要があります。

行政書士香川法務事務所では、遺言書の作成をはじめとした相続や生前対策に関するご相談を承っており、ご状況に応じた形でのご提案を行っています。

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投稿者プロフィール

香川 貴俊
香川 貴俊行政書士香川法務事務所 代表
行政書士(東京都行政書士会荒川支部理事、荒川区役所区民相談員)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビリヤードプロ