遺言書で実現できること8つ|法的効力を持つ内容と持たない内容を解説

遺言書は、自分の意思を相続に反映させるための重要な手段ですが、記載した内容がすべて法的効力を持つわけではありません。

遺言書には、法律上効力が認められている事項(法定遺言事項)と、法的拘束力を持たない事項があり、効力が認められる内容については、原則としてその記載に従って相続手続きが進められることになります。

そのため、遺言書を作成する際には、どのような内容に法的効力が認められるのかを理解しておくことが重要です。


法的効力を持つ内容

相続分の指定

遺言書では、各相続人がどの程度の割合で財産を取得するかを指定することができます。

遺言書がない場合には、相続人全員による遺産分割協議によって財産の分け方を決めることになりますが、この協議は全員の合意が必要であり、必ずしも被相続人の意向が反映されるとは限りません。

特に、相続人ごとに生活状況や被相続人への関わり方が異なる場合には、分配方法をめぐって意見が対立することもあり、協議が長期化することもあります。

遺言書によって相続分をあらかじめ指定しておくことで、このような調整を行うことなく、自分の意思に沿った形で財産を承継させることが可能となります。


遺贈

遺言書では、相続人以外の者に対して遺言によって財産を渡す「遺贈」を行うことができます。

例えば、内縁の配偶者や長年にわたり介護をしてきた者、あるいは特定の団体に財産を承継させたいという意向がある場合でも、これらは法律上の相続人ではないため、遺言書がなければ原則として財産を取得することができません。

遺言書によって遺贈の内容を明確にしておくことで、相続人以外の者に対しても財産を承継させることが可能となり、被相続人の意思を適切に実現することができます。


相続人の廃除

相続人の廃除とは、一定の事情がある場合に、特定の相続人の相続権を失わせる制度です。

例えば、被相続人に対して虐待や重大な侮辱があった場合などには、家庭裁判所に対して廃除の申立てを行うことができます。

遺言書によって廃除の意思を示しておくことで、被相続人の死亡後にその手続きを進めることが可能となります。

もっとも、廃除が認められるためには厳格な要件を満たす必要があり、家庭裁判所の判断を経て初めて効力が生じるため、遺言書に記載する際にはその点も踏まえた検討が必要です。


遺産分割の禁止

遺言書では、一定期間に限り遺産分割を禁止することができます。

例えば、不動産や事業用資産について、一定期間は現状を維持したい場合などに利用され、遺産分割を禁止することで相続直後の混乱や拙速な分割を防ぐことができます。

また、相続人間での協議が整うまでの時間的余裕を確保するという意味でも有効に機能します。

もっとも、遺産分割の禁止には期間制限があり、長期間にわたる拘束は認められていないため、内容の設定には注意が必要です。


隠し子の認知

遺言書によって、婚外子(法律上の婚姻関係にない間に生まれた子)を認知することができます。

認知が行われると、その子は法律上の子としての地位を取得し、相続人となります。

遺言書による認知は、被相続人の死亡後に効力が生じるため、生前に認知を行っていなかった場合でも、遺言によってその意思を実現することが可能です。


未成年後見人の指定

未成年の子どもがいる場合には、遺言書によって未成年後見人を指定することができます。

未成年後見人とは、親に代わって子どもの監護や財産管理を行う者を指し、親が亡くなった後の生活に大きく関わる重要な役割を担います。

遺言書であらかじめ後見人を指定しておくことで、家庭裁判所の判断に委ねることなく、自分の意思に基づいた人選を行うことが可能となり、子どもの生活環境を安定させることにもつながります。


遺言執行者の指定

遺言書により、遺言執行者を指定することができます。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う者をいい、遺言の内容に基づく各種手続きを一括して進める役割を担います。

特に、先述の認知や相続人の廃除については、遺言執行者がいない場合には手続きを行うことができないため、その指定はより重要となります。

また、認知や廃除に関しての記載がない遺言書であった場合でも、遺言執行者が関与することで、手続きが確実かつ円滑に進められ、相続人間の負担軽減にもつながります。


法的効力を持たない内容

遺言書には、法的効力を持たない事項を記載することもできます。
これを一般に「付言事項」といいます。

付言事項では、財産の分け方の理由や、家族への感謝の気持ち、今後の希望などを自由に記載することができます。

これらの内容自体には法的拘束力はありませんが、相続人の理解を得るうえで重要な役割を果たし、結果として相続トラブルの防止につながることもあります。


荒川区の相続・生前対策なら【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所へ

遺言書については、「どのような内容を書けばよいのか」「どこまで決めておくべきか」といった点で悩まれる方も多くいらっしゃいます。
ご家族の状況や財産の内容によって適切な内容は異なるため、個別の事情に応じた検討が重要になります。

行政書士香川法務事務所では、遺言書の作成をはじめとした相続や生前対策に関するご相談を承っており、ご家族の状況やご意向を踏まえながら、必要に応じて司法書士や税理士などの専門家とも連携し、総合的なサポートをご提供しています。

荒川区で相続や生前対策についてお悩みの方は、【相続・生前対策専門】行政書士香川法務事務所までお気軽にご相談ください。

投稿者プロフィール

香川 貴俊
香川 貴俊行政書士香川法務事務所 代表
行政書士(東京都行政書士会荒川支部理事、荒川区役所区民相談員)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビリヤードプロ