NISA口座を相続した時の手続きは?|相続後の流れや税金、注意点を分かりやすく解説
相続財産の中にNISA口座で保有していた株式や投資信託が含まれている場合には、通常の証券口座とは異なるルールで相続手続きを進める必要があります。
手続きを誤ると、相続手続きが滞るだけでなく、その後の資産管理にも影響を及ぼす可能性があります。
NISAとは?
NISA(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託などへ投資して得られた配当金や譲渡益について、一定額まで非課税となる制度です。
通常、株式や投資信託を売却して利益が出た場合や、配当金・分配金を受け取った場合には約20%の税金が課税されますが、NISA口座で保有している一定額までの金融商品については、これらの利益に税金がかかりません。
資産形成を支援する制度として広く利用されており、相続財産の中にNISA口座で保有していた株式や投資信託が含まれるケースも増えています。
旧NISAと新NISAの違い
NISA制度は、令和6年(2024年)に大きく見直されました。
それまでの制度では、一般NISAとつみたてNISAのどちらか一方しか利用できず、非課税で保有できる期間にも制限がありました。
一方、新NISAでは制度が恒久化され、年間投資枠や生涯投資枠が拡大されたほか、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになっています。
主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 一般NISA(旧制度) | つみたてNISA(旧制度) | 新NISA |
|---|---|---|---|
| 制度開始 | 2014年 | 2018年 | 2024年 |
| 年間投資枠 | 120万円 | 40万円 | 360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円) |
| 非課税保有限度額 | 年間120万円×5年間 | 年間40万円×20年間 | 生涯1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで) |
| 非課税保有期間 | 5年 | 20年 | 無期限 |
このように制度内容は大きく変わりましたが、相続が発生した場合の基本的な考え方は旧NISAと新NISAで共通しています。
そのため、本記事では新旧の制度を区別せず、「NISA口座」として解説していきます。
NISA口座は相続できる?
結論からいうと、NISA口座そのものを相続することはできません。
NISAは一人ひとりに認められた非課税制度であり、その権利を相続によって引き継ぐことはできませんが、NISA口座で保有していた株式や投資信託などの金融商品は相続財産となるため、相続人が取得することになります。
つまり、相続の対象となるのは、NISA口座そのものではなく、NISA口座で保有している株式や投資信託などの金融商品です。
NISA口座で保有していた株式や投資信託の取り扱い
被相続人が亡くなると、NISA口座で保有していた株式や投資信託は相続人名義の証券口座へ移管されます。
ただし、そのままNISA口座へ引き継がれるわけではなく、移管先は相続人名義の特定口座または一般口座となるため、NISAによる非課税の取り扱いは相続人へ引き継がれません。

NISA口座を相続した場合の手続きの流れ
相続が発生した場合は、通常の預貯金や株式と同様に、証券会社で所定の相続手続きを行う必要があります。
金融機関によって細かな流れは異なりますが、一般的には次のような手順で進めます。
死亡の連絡をする
まずは、被相続人が利用していた証券会社へ死亡の事実を連絡します。
連絡を受けた証券会社では口座が凍結され、その後は売買や出金などができなくなります。
必要書類を提出する
証券会社から案内された必要書類を提出します。
一般的には、次のような書類が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍※1
- 相続人全員の現在戸籍※2および印鑑証明書
- 遺言書または遺産分割協議書
- 証券会社所定の相続手続書類
※1※2の代わりに法定相続情報一覧図でも代替可
なお、必要書類は証券会社や相続の内容によって異なります。
上記は一般的な例であり、個別の事情に応じて追加書類の提出を求められることもあるため、事前に証券会社へ確認した上で準備しましょう。
相続人名義の証券口座へ移管する
株式や投資信託は現金のようにその場で分けることができないため、相続人名義の証券口座へ移管する手続きが必要になります。
相続人が同じ証券会社に口座を持っていない場合には、新たに証券口座を開設しなければならないケースもあります。
相続人の証券口座
相続人がNISA口座を利用している場合
相続人自身がNISA口座を利用していたとしても、相続した株式や投資信託をそのNISA口座へ移すことはできません。
NISAは新たに購入した金融商品を非課税で保有するための制度であり、相続によって取得した金融商品は対象外となるためです。
そのため、相続した金融商品は特定口座または一般口座で管理することになります。
相続人が証券口座を持っていない場合
相続人が被相続人と同じ証券会社の口座を持っていない場合には、株式や投資信託を移管するため、新たに証券口座を開設する必要があります。
証券会社によっては口座開設と相続手続きを同時に進められることもあるため、早めに手続きを開始するとスムーズです。
NISA口座に関する税金
相続した金融商品の売却と譲渡所得税
相続した株式や投資信託を将来売却する場合には、取得価格によって売却時の税額が変わるため、その取り扱いを理解しておくことが大切です。
NISA口座の金融商品は、被相続人が購入した価格をそのまま引き継ぐわけではなく、相続した時点での時価が取得価格となります。
例えば、被相続人が100万円で購入した株式が死亡日時点で180万円まで値上がりしていた場合、相続人がその株式を取得した際の取得価格は180万円となり、その後200万円で売却した場合には180万円を超えた20万円分が課税対象となり、170万円で売却した場合には取得価格を下回るため税金はかかりません。
このように、被相続人が保有していた期間の値上がり益についてはNISAによって非課税となりますが、相続後は通常の課税口座で保有することになるため、取得価格を超えて生じた利益には譲渡所得税などが課税されます。

NISA口座の金融商品と相続税
NISA口座で保有している株式や投資信託も相続財産に含まれるため、相続税の課税対象になります。
「非課税口座」という名称から誤解されやすい点ですが、非課税となるのは運用益や配当金などに対する所得税・住民税であり、相続税とは別に取り扱われます。
そのため、相続税が発生する場合には、NISA口座の金融商品も他の財産と同様に相続税評価額へ含めて計算します。
相続税評価額の算出方法
相続したNISA口座の株式や投資信託は、相続税の計算をするために評価額を算定する必要があります。
上場株式の評価額は、次の4つの金額のうち、最も低い金額によって評価します。
- 相続開始日の終値
- 相続開始月の終値の月平均額
- 前月の終値の月平均額
- 前々月の終値の月平均額
一方、投資信託は相続開始日時点の基準価額などを基に評価されます。
実際の評価方法は金融商品の種類や銘柄によって異なります。
相続税の申告が必要な場合は、税理士へ相談することをおすすめします。
よくある質問
相続した株式や投資信託はすぐに売却しなければなりませんか?
いいえ、必ず売却する必要はありません。
相続人名義の証券口座へ移管した後は、そのまま保有を続けることもできます。
今後の運用方針や資金計画、税負担などを踏まえて判断しましょう。
相続人が複数いる場合、NISA口座の株式や投資信託はどのように分けますか?
NISA口座の金融商品も他の相続財産と同様に遺産分割の対象となるため、遺言書がない場合には相続人全員で話し合って取得者を決めます。
複数の銘柄を相続人ごとに分けることもできますが、価格が日々変動するため、評価額や公平性も考慮しながら遺産分割協議を進めることが大切です。
NISA口座の金融商品を相続放棄した場合はどうなりますか?
相続放棄をすると、NISA口座で保有していた株式や投資信託を含め、被相続人の財産を相続することはできません。
借金などのマイナスの財産も引き継がない一方、預貯金や不動産、有価証券などのプラスの財産も取得できなくなるため、相続放棄を検討する際には財産全体を確認した上で判断することが重要です。
荒川区の相続・遺言は【相続・遺言専門】行政書士香川法務事務所へ
NISA口座で保有していた株式や投資信託は相続財産となりますが、NISAによる非課税の取り扱いは相続人へ引き継がれず、相続後は特定口座または一般口座で管理することになります。
また、相続税の対象となるほか、証券会社で所定の相続手続きを行う必要があるため、制度を正しく理解した上で適切に手続きを進めることが大切です。
行政書士香川法務事務所では、相続人調査のための戸籍収集、相続関係説明図の作成、遺産分割協議書の作成、預貯金や有価証券などの相続手続きサポートを行っており、不動産の相続登記が必要な場合には司法書士、相続税の申告が必要な場合には税理士と連携し、ご相談内容に応じたサポートを提供しております。
荒川区で相続や遺言についてお悩みの方は、お気軽に行政書士香川法務事務所までご相談ください。

投稿者プロフィール

- 行政書士香川法務事務所 代表
- 行政書士(東京都行政書士会荒川支部理事、荒川区役所区民相談員)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビリヤードプロ
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