戸籍の附票とは?|相続人の住所調査や相続手続で必要になる場面を解説
相続手続では、戸籍謄本や住民票のほかに「戸籍の附票」という書類が必要になることがあります。
戸籍謄本や住民票に比べると馴染みが薄く、どのような書類なのか、何のために使うのか分からない方も多いのではないでしょうか?
特に、相続人の中に長年連絡を取っていない人がいる場合などには、戸籍の附票が相続手続を進めるうえで重要な書類となります。
戸籍の附票とは
戸籍の附票とは、戸籍に記載されている人の住所の履歴を記録した書類です。
戸籍そのものには、出生や婚姻、離婚、死亡、親子関係などの身分関係が記録されていますが、原則として現在の住所は記載されていません。
そこで、戸籍と住所を結び付けるために作成されているのが戸籍の附票です。
戸籍の附票は住所地の市区町村ではなく、本籍地の市区町村が戸籍とともに管理しており、住所を変更して住民票を異動すると、その情報が本籍地の市区町村にも通知され、戸籍の附票に新しい住所が記録されます。
そのため、本籍地を変えずに東京都荒川区から足立区、さらに埼玉県川口市へ転居した場合でも、その戸籍の附票には市区町村をまたいだ住所の移動が記録されます。
戸籍の附票に記載される内容
戸籍の附票には、主に次の事項が記載されます。
・氏名
・住所
・住所を定めた年月日
・生年月日
・性別
このほか、本籍・筆頭者については原則として省略され、請求時に記載を希望することで表示されます。
住民票コードなどについても、一定の場合に記載を求めることができます。
相続手続で戸籍の附票を取得する場合には、提出先によって必要となる記載事項が異なるため、何のために使用するのかを確認してから請求するとよいでしょう。
戸籍の附票と戸籍謄本・住民票の違い
戸籍の附票、戸籍謄本、住民票はいずれも市区町村が発行する公的な証明書ですが、それぞれ証明する内容が異なります。
| 書類 | 主に確認できる内容 | 管理する市区町村 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本 | 出生、婚姻、離婚、死亡、親子関係など | 本籍地 |
| 戸籍の附票 | その戸籍に対応する住所の履歴 | 本籍地 |
| 住民票 | 現在の住所、世帯関係など | 住所地 |
相続人を調査する際には、この違いが重要になります。
戸籍をたどれば「誰が相続人なのか」を調べることができますが、その相続人が現在どこに住んでいるのかまでは通常分かりません。
そこで、戸籍によって相続人を確定した後、その人の戸籍の附票を取得することで現在の住所を調べることができます。
つまり、相続人調査では、
戸籍 → 相続人を確定する
戸籍の附票 → 相続人の住所を調べる
というように、それぞれ異なる役割があります。
戸籍の附票にはどこまでの住所が記載される?
戸籍の附票について注意したいのが、「その人の生涯すべての住所が1通に記載されているわけではない」という点です。
戸籍の附票は、その戸籍が作られたときから現在まで、またはその戸籍から除籍されるまでの住所の履歴を記録するものです。
たとえば、ある人が結婚によって親の戸籍から抜け、新しく夫婦の戸籍を作った場合には、結婚前の戸籍に対応する附票と、結婚後の戸籍に対応する附票は別のものになります。
そのため、現在の戸籍の附票を取得したからといって、出生から現在までのすべての住所が分かるとは限りません。

転居しても本籍が変わらなければ附票は続く
単に住所を変更しただけであれば、戸籍そのものが変わるわけではありません。
そのため、同じ戸籍に在籍したまま住所だけを何度も変更した場合には、その戸籍に対応する附票に住所の履歴が追加されていきます。
東京都から埼玉県、埼玉県から千葉県というように市区町村をまたいで転居した場合でも、本籍が同じであれば同じ附票に住所の履歴が記録されます。
婚姻や転籍などで戸籍が変わると附票も変わる
一方、婚姻や転籍などによって新しい戸籍が作られると、それに対応して新しい戸籍の附票も作成されます。
この場合、新しい附票には原則として新しい戸籍が作られた時点以降の住所が記録されるため、それ以前の住所を確認したい場合には、以前の戸籍に対応する附票までたどらなければならないことがあります。
また、戸籍がコンピュータ化されるなどして改製された場合には、附票についても改製されていることがあります。
このように、長期間にわたる住所のつながりを証明する場合には、現在の戸籍の附票だけでは足りないことがあります。
除附票・改製原附票とは
除附票
戸籍に記載されている人が死亡や婚姻などによって全員除籍となった場合や、転籍によってその戸籍自体が除籍となった場合には、それに対応する戸籍の附票は「除附票」となります。
亡くなった人の過去の住所を確認する場合などには、この除附票が必要になることがあります。
改製原附票
戸籍のコンピュータ化などによって附票が作り替えられた場合、それまで使用されていた附票が「改製原附票」として扱われます。
現在の附票には改製後の住所しか記録されていない場合があるため、それ以前の住所を証明するには改製原附票が必要になることがあります。
戸籍の附票の保存期間
現在、戸籍の附票の除票は150年間保存されます。
以前の保存期間は5年間でしたが、2019年(令和元年)の住民基本台帳法改正により150年間へ延長されました。
ただし、改正前に保存期間を経過してすでに廃棄された除附票や改製原附票まで、新たに保存されるようになったわけではありません。
そのため、古い住所を証明するために過去の附票が必要であっても、すでに廃棄されている場合には取得できません。
どの時期までさかのぼって取得できるかは、市区町村や附票が除票となった時期などによって異なります。
相続で戸籍の附票が必要になる主な場面
相続手続で戸籍の附票が利用される主な場面として、相続人の住所を調査する場合と、不動産の相続登記などで被相続人の住所のつながりを証明する場合があります。
住所が分からない相続人を調査する場合
遺言書がなく遺産分割協議を行う場合には、相続人全員の参加と合意が必要です。
しかし、相続人の中に長年連絡を取っていない兄弟姉妹や甥・姪、前妻・前夫との間の子などがいる場合には、相続人であることは戸籍から分かっても、現在の住所や連絡先が分からないことがあります。
このような場合に戸籍の附票を利用して、住民登録上の現在の住所を調査します。
具体的な調査方法や住所が判明した後の対応については、後ほど詳しく解説します。
被相続人の住所のつながりを証明する場合
不動産の相続登記では、登記簿に記録されている所有者と亡くなった被相続人が同一人物であることを確認するため、住所のつながりを証明しなければならない場合があります。
たとえば、不動産を取得した当時の登記簿上の住所から何度か転居し、死亡時には別の住所になっていた場合、死亡時の住民票の除票だけでは住所の移転経過を証明できないことがあります。
このような場合には、戸籍の附票などを利用して登記簿上の住所から死亡時の住所までのつながりを確認します。
なお、不動産の相続登記は司法書士の業務となるため、行政書士香川法務事務所では必要に応じて司法書士と連携して対応しております。
(参考:相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等-法務局HP)

音信不通の相続人の住所を戸籍の附票から調査する方法
相続人の中に長年連絡を取っていない人がいる場合でも、その人が法定相続人であれば、遺産分割協議から除外することはできません。
そのため、住所や連絡先が分からない相続人がいる場合には、まず戸籍をたどって現在の戸籍を特定し、その戸籍の附票から現在の住所を調査します。
音信不通の相続人の住所を調査する流れ
音信不通の相続人について、いきなり現在の戸籍の附票を取得できるとは限りません。
たとえば、最後に把握している戸籍から婚姻や転籍によって別の戸籍へ移っている場合には、戸籍を順番にたどって現在の戸籍を特定する必要があります。
そのうえで現在の戸籍に対応する附票を取得することで、住民登録上の現在の住所を確認します。
一般的には、次のような流れで調査を進めます。
- 被相続人の戸籍から法定相続人を確定する
- 対象となる相続人の戸籍をたどる
- 現在の戸籍を特定する
- 戸籍の附票から現在の住所を調べる
- 判明した住所へ書面を送付する
戸籍の附票で分かるのは住民登録上の住所
戸籍の附票から確認できるのは、あくまで住民登録上の住所です。
本人が実際の居住地へ住民票を異動していない場合には、附票に記載された住所と実際に住んでいる場所が異なるため、書面を送付しても本人に届かない可能性があります。
したがって、戸籍の附票を取得すれば必ず本人と連絡が取れるわけではありませんが、住所が分からない相続人の所在を調べるための重要な手掛かりとなります。
住所が判明した後は書面などで連絡を取る
戸籍の附票から住所が判明した後は、その住所へ書面を送付するなどして本人との連絡を試みます。
最初に送る書面では、相続が発生したことや相続人に該当すること、今後遺産分割協議を行う必要があることなどを伝えます。
長年交流がない相続人へ突然連絡する場合には、相手が事情を把握していないことも考えられるため、相続関係や連絡した理由が分かる内容にすることが大切です。
なお、書面を送っても返事がないからといって、その相続人を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。
また、連絡が取れたものの遺産の分け方について合意できなければ、当事者同士の話し合いだけでは遺産分割を成立させることができず、家庭裁判所での遺産分割調停へ進まざるを得ないこともあるため、相続人間で争いが生じた場合には、早めに弁護士へ相談することが大切です。
戸籍の附票を取得できる人
戸籍の附票は、誰でも自由に取得できる書類ではありません。
原則として、次のような人が請求できます。
・戸籍に記載されている本人
・本人の配偶者
・父母や祖父母などの直系尊属
・子や孫などの直系卑属
このほか、本人から委任を受けた代理人も請求できます。
また、上記に該当しない人であっても、自己の権利の行使や義務の履行などのために戸籍の附票が必要であり、正当な理由が認められる場合には、第三者として請求することができます。
戸籍の附票の取得方法
戸籍の附票は、原則としてその戸籍の本籍地の市区町村へ請求します。
主な取得方法は、次のとおりです。
・市区町村の窓口で請求する
・郵送で請求する
・対応している市区町村ではマイナンバーカードを利用してコンビニなどで取得する
利用できる取得方法や手数料は市区町村によって異なりますが、窓口や郵送で請求する場合には、一般的に請求書、本人確認書類、手数料などが必要となり、代理人による請求では委任状が必要になります。
また、相続に伴う第三者請求では、これらに加えて請求する権利や必要性を確認できる資料が必要になります。
(参考:戸籍に関する証明、戸籍に関する証明書等の窓口・郵送請求(本人等請求)、戸籍に関する証明書等の窓口・郵送請求(第三者請求)-荒川区公式サイト)
戸籍の附票は広域交付の対象外
2024年(令和6年)3月1日から、戸籍謄本などについては広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村でも一定の戸籍証明書を取得できるようになりました。
しかし、戸籍の附票は戸籍証明書等の広域交付の対象ではありません。
そのため、戸籍謄本は最寄りの市区町村で広域交付を利用できる場合でも、戸籍の附票については原則として本籍地の市区町村へ請求する必要があります。
戸籍謄本と戸籍の附票では取得できる場所や方法が異なるため、相続に必要な書類を集める際には注意が必要です。


(引用:戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)-法務省HP)
音信不通の相続人の住所調査は行政書士に依頼できる
相続手続では、誰が相続人になるのかを確定するために戸籍を収集する必要がありますが、被相続人の家族関係やこれまでの婚姻歴などによっては多くの戸籍をたどらなければならず、その過程でこれまで存在を知らなかった相続人や、長年交流のない相続人が判明することもあります。
さらに、相続人の住所が分からない場合には、その相続人の戸籍をたどって現在の戸籍を特定し、戸籍の附票から住民登録上の住所を調査しなければなりません。
このような複雑な戸籍収集や相続人調査を自分で行うことが難しい場合には、行政書士への依頼をおすすめします。
行政書士に依頼すれば、相続人を確定するための戸籍収集から、相続関係説明図の作成、必要に応じた相続人の住所調査、判明した住所へ送付する書面の作成まで、まとめて依頼することができます。
戸籍の附票に関するよくある質問
戸籍の附票を取得すれば現在の住所が分かりますか?
対象者が現在在籍している戸籍の附票を取得できれば、住民登録上の現在の住所を確認できます。
ただし、本人が実際の居住地へ住民票を異動していない場合には、附票上の住所と実際の居住地が一致していない可能性があります。
戸籍の附票には出生から現在までの住所がすべて載っていますか?
必ずしもすべて記載されているわけではありません。
戸籍の附票は戸籍ごとに作成されるため、婚姻や転籍などによって戸籍が変わっている場合には、現在の附票だけでは以前の住所を確認できないことがあります。
過去の住所までたどる必要がある場合には、以前の戸籍に対応する附票や除附票、改製原附票などを取得する必要があります。
亡くなった人の戸籍の附票も取得できますか?
取得することができますが、請求できる人や請求理由などの条件を満たす必要があります。
戸籍が除籍となった場合には附票も除附票となり、現在の保存期間は150年間です。
ただし、保存期間が150年間へ延長される前にすでに廃棄された古い除附票などは取得できません。
兄弟姉妹の戸籍の附票は自由に取得できますか?
兄弟姉妹だからという理由だけで、本人等請求として自由に取得できるわけではありません。
兄弟姉妹は直系親族ではないため、相続手続のために必要な場合には、第三者請求として具体的な請求理由や相続関係を示す資料などが必要になります。
戸籍の附票から電話番号も分かりますか?
戸籍の附票に電話番号やメールアドレスは記載されません。
そのため、音信不通の相続人について附票から住所が判明した場合には、その住所へ手紙などの書面を送付して連絡を試みることになります。
荒川区の相続・遺言は【相続・遺言専門】行政書士香川法務事務所へ
相続人の中に長年連絡を取っていない人や住所の分からない人がいる場合、その人を除外して遺産分割協議を進めることはできないため、戸籍から相続関係を確認し、戸籍の附票などを利用して現在の住所を調査する必要があります。
相続人の確定には、被相続人の家族関係や婚姻歴などに応じて複数の戸籍をたどる必要があり、その過程でこれまで存在を知らなかった相続人や、長年交流のない相続人が判明することもあります。
さらに、その相続人の住所が分からなければ、現在の戸籍を特定して戸籍の附票を取得し、判明した住所へ連絡を取らなければなりません。
行政書士香川法務事務所では、戸籍収集による相続人調査、相続人の住所調査、相続関係説明図や遺産分割協議書の作成、預貯金の相続手続、相続人への連絡に必要な書面の作成などをサポートしております。
不動産の相続登記が必要な場合には司法書士、相続税の申告が必要な場合には税理士と連携し、ご相談内容に応じたサポートを提供しております。
荒川区で戸籍収集や相続人調査、音信不通の相続人の住所調査、遺産分割協議書の作成など、相続手続についてお悩みの方は、お気軽に行政書士香川法務事務所までご相談ください。

この記事の執筆者

- 行政書士香川法務事務所 代表
- 行政書士(東京都行政書士会荒川支部理事、荒川区役所区民相談員)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、ビリヤードプロ
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